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矢花グループ

研究内容

電子ダイナミクスの第一原理計算

私たちのグループでは、時間依存密度汎関数理論に基づく第一原理計算を中心に、光と物質の相互作用に関わる理論・計算科学研究を行っています。分子やナノ構造、固体中での電子ダイナミクスを、物質科学の第一原理計算の手法を用いて実時間・実空間で記述し理解する研究は、1990年代に始まりました。私たちのグループは、その研究を端緒から切り拓き発展させてきました。現在は、下で述べるソフトウェアSALMONの開発を中心に、電子ダイナミクス計算を多様な方向に発展させる研究を進めています。

高強度超短パルス光と物質の相互作用・アト秒科学

近年の光科学では、非常に短いパルス光を用いてミクロな世界の物質の動きを時間領域で測定することによる研究が大きな発展を遂げています。現在最も短いパルス光は、数十アト秒(1アト秒は10の-18乗秒)に到達しており、このようなパルス光を用いたアト秒科学が発展しています。また、極めて高強度なパルス光を物質に照射すると、著しく非線形な光と電子の相互作用が起こります。これにより、高次高調波発生などの新現象が起こります。さらに強度の高いレーザーを用いると、物質に不可逆な変化が生じ、レーザー加工が可能となります。我々は、フェムト秒・アト秒パルス光により物質中に生じる電子やイオンの運動を第一原理計算により記述し、そこで起こる様々な現象を解明する研究を進めています。

光・電子融合計算

光科学分野における計算手法として、光電磁場を記述するマクスウェル方程式を数値的に解く電磁場解析計算が知られています。また物質科学の第一原理計算では、量子力学に基づき誘電関数や分極率などの線形光応答関数を精密に記述する理論や計算法が発展してきました。このように、従来光科学分野では、電磁気学と量子力学による2つの計算科学が独立に発展してきたのです。ところが近年の光科学では、電磁気学と量子力学を分離した扱いでは記述できないところで大きく発展しています。我々のグループでは、光電磁場に対するマクスウェル方程式と、電子ダイナミクスに対する時間依存コーン・シャム方程式(時間依存密度汎関数理論の基礎方程式)を結合した新しい理論とシミュレーション手法を発展させています。

SALMONプロジェクト

私たちのグループで開発している計算手法やプログラムを、オープンソースソフトウェアとして公開し無償で提供する計算コードプロジェクトを推進しています。計算コードの名前はSALMON (Scalable Ab-initio Light-Matter simulator for  Optics and Nanoscience) です。是非ウェブページ http://salmon-tddft.jp をご訪問ください。そしてコードをダウンロードし利用を試みてください。

超大規模光科学計算

私たちの所属している筑波大学計算科学研究センターは、計算機科学の強力な研究グループがあり、世界トップクラスのスーパーコンピュータの開発を進めています。現在は東京大学と協力して、スーパーコンピュータOakforest-PACSの運用を行っています。また私たちのグループは、ポスト「京」の重点課題プロジェクトのサブ課題として、「光・電子融合デバイス」に関する大規模計算研究を行っています。これらを背景として、私たちは計算機科学研究者との密接な協働のもと、超大規模計算による光計算科学研究に取り組んでいます。